
ロシア軍がミサイル40発、ゼレンスキー氏「戦争開始以降最も残忍な砲撃」…70か所超が被害
【キーウ=森井雄一】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は7月31日のビデオ演説で、ロシア軍の同日のウクライナ南部へのミサイル攻撃について、「戦争開始以降の全期間で最も残忍な砲撃の一つだ」と述べ、侵略を続けるロシアを強く批判した
ウクライナ国営通信などによると、警察当局は1日、ミコライウ州に約40発のミサイル攻撃があり、集合住宅や宿泊施設など70か所以上が被害を受けたと明らかにした。国内最大手の穀物商(74)と妻が死亡した。ミコライウ州には穀物輸出第2の主要港があるが、ウクライナとロシアが7月に国連やトルコと交わした合意で輸出再開の対象にはなっていない。
一方、対象港がある南部オデーサ州では、採石場にミサイル2発が着弾した。輸出再開の準備が大詰めを迎えていたタイミングで、ロシアに挑発の意図があったとみられている。
インターファクス・ウクライナ通信などによると、死亡した穀物商は、小麦やトウモロコシの生産と輸出を専門とし、輸送船や造船所も所有する国内最大級の穀物企業を経営していた。海上輸出再開の交渉にも関わっていたという。ウクライナ大統領府顧問は、砲弾は寝室に正確に命中しており、意図的に狙われたのは「疑いの余地がない」と訴えた。ゼレンスキー氏も「世界の食料安全保障を保証してきたのは、まさにこのような人々、このような企業だ」と述べ、反撃すると強調した。
ウクライナ国営通信によると、露軍の支配が続くウクライナ南部ヘルソンでは、国内有数の造船所への立ち入りが禁じられた。造船所幹部が30日、「経営陣や従業員の出入りを露軍が許可しなくなった」と明らかにした。輸出再開で需要が見込まれる造船所の操業が今後、難しくなる恐れがある。
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